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技術用語集|GLOSSARY

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2024/01/01

応力 stress

応力とは

応力とは、物体に外部から力が加えられたとき、その内部に生じる「力の分布」を表す物理量である。より具体的には、外力によって物体が変形しようとするとき、その変形を妨げようとする内部の抵抗力を、単位断面積あたりに換算した値を「応力」と呼ぶ。機械工学や材料力学の分野で広く用いられる基本概念である。

応力の単位

応力の単位には、かつては「kgf/mm²(キログラム重毎平方ミリメートル)」が使われていたが、現在は国際単位系(SI単位)に則り、「Pa(パスカル)」が用いられる。1Paは1平方メートルあたり1ニュートンの力に相当し、実用的な工学分野では「MPa(メガパスカル)」=10⁶Paや「GPa(ギガパスカル)」=10⁹Paといった単位が多用される。たとえば、鋼材の引張強さはおおむね400~600MPa程度である。

応力と圧力の違い

一般的な日常表現では「圧力(pressure)」と混同されることもあるが、厳密には応力は、力がかかる方向や形状に応じて分類される点が異なる。代表的な応力の種類には以下がある。

応力の種類

  • ・引張応力(ちょうけんおうりょく / Tensile stress)
  •  物体を引き伸ばす力によって生じる応力
     

  • ・圧縮応力(あっしゅくおうりょく / Compressive stress)
  •  物体を押しつぶそうとする力によって生じる応力
     

  • ・せん断応力(Shear stress)
  •  物体の一部を他の部分とずらすような力によって生じる応力
     

  • ・曲げ応力(Bending stress)
  •  物体を曲げるような力によって断面内に発生する応力
     

  • ・ねじり応力(Torsional stress)
  •  物体をねじるような力によって発生する応力

 
これらの応力は、物体の変形や破壊の予測、材料選定、構造設計において極めて重要な判断材料となる。
 
たとえば橋梁や建築構造物、あるいは機械部品においては、想定される荷重に対して材料が十分な応力に耐えられるかを設計段階で評価する必要がある。許容応力を超えるような設計を行うと、構造物の破壊や事故につながるリスクがあるため、安全率(safety factor)を考慮した応力解析が求められる。
 
また、応力は外部からの力だけでなく、温度変化や収縮、組立時の誤差などによっても発生する「残留応力(Residual stress)」も存在する。これは製品の性能や寿命に大きな影響を及ぼすことがある。
 
このように「応力」という概念は、物体や構造物の強度・信頼性を評価するうえで欠かせない指標であり、理工系分野における基礎中の基礎といえる重要な用語である。

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