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GLOSSARY
固有振動(こゆうしんどう)とは、物体に一度外力(衝撃や押し引きなど)を与えたあと、それを放置したときに、その物体が持つ性質に基づいて物体が自然に振動を始め、一定の周波数で振動を繰り返す現象を指します。そしてそのときの振動数(1秒間あたりの振動の回数)を固有振動数(natural frequency)と呼びます。
たとえば、金属板やバネに軽く衝撃を与えると「びーん」という音とともに微細に振動し、やがて止まります。このとき振動が最も安定して継続しているタイミングの振動数が「固有振動数」であり、その揺れ自体が「固有振動」です。
物体が外力を受けると、元に戻ろうとする力(復元力)が働きます。この力によって生じた振動は、空気抵抗や内部摩擦により時間とともに減衰しますが、最初の数秒間は物体がもともと持つ特性に基づく振動=固有振動が支配的になります。
このとき、外部の力が取り除かれていても、物体自身の材質や形状によって一定の周波数で振動が続く性質があり、それが固有振動の基本的なメカニズムです。
固有振動数は、以下のような物理的特性により決まります:
振動数
ここで はバネ定数(剛性)、 は質量です。より複雑な形状では、固有振動数は解析や実験により求められます。
固有振動数は、振動の方向によって異なります。主に以下のような種類があります:
同じ物体でも、振動方向が異なれば固有振動数も異なるため、構造設計や製品開発では多方向の固有振動数を評価することが重要です。
固有振動は、私たちの生活の中にも数多く存在しています。たとえば:
また、設計上で固有振動数が外部の振動源(道路振動、地震、エンジン回転数など)と一致すると共振が起き、大きな破壊につながることもあります。
固有振動数・固有振動は、物体が「どのように・どれくらい振動するか」を決定づける基本特性であり、材質・形状・支持条件に応じて変化します。設計段階でこれを無視すると、振動障害や騒音、共振による破壊リスクが高まります。製品開発や構造設計では、固有振動数の把握と調整が不可欠な要素となっています。